「底辺への競争」
このタイトルは、15年前にアメリカでベストセラーになった「The Race The Bottom」の中でとネルソン氏がグローバルゼ―ションが進む中、世界規模で繰り広げられる経済競争によって労働者の賃金も社会保障も最低水準まで落ち込んでいく様相を「底辺の競争」と名付けたところからつけられました。
底辺への競争です。
今の日本社会は「中流生活」を維持し下流に転落しないための競争というものがより過酷な形で日常的に起きていると筆者は指摘しています。下流に転落して最低限度の生活しか出来ずに将来の希望ももてない人たちが現在進行系で日本で増えていっています。
「底辺への競争」というより底辺に落ちないように必死に中流のポジションを維持する為の競争って方が適切かもしれません。
この本では団塊世代と団塊ジュニア世代、1980年代以降の歴史など振り返りつつ今の現状について書かれています。私も同じ時代に生きているわけだからなんとなく体感はしているわけだけど。。。読んでみるとなるほどと納得する部分は大きかったです。
戦後、高度経済成長によってつくられた「一億総中流」というものがあって、「すべての人は中流で、自分もみんなと同じだ」という意識をもつことによって自分のプライドを保っているわけです。逆にいえば、周りの中流生活ができない人を馬鹿にしてきたというところがあって「変わった人だ」「かわいそうだ」などといってどこかで差別してきたのでしょう。
THE日本って感じですよね。
それは今日の日本社会でも変わりません。自分が中流であること、人並みに生活していることが重要で、それができないということに対する「恥」の意識が強いのです。自分が中流だと思う生活を維持することが日本人にとって至上命令です。
あとこの本でけっこう怖いことが書いてあってさ。アラフォー世代は就職が厳しい最初の世代である。働こうと思ったら就職氷河期がやってきて日本の失われた20年とともに生きてきたわけだけど。。。それでも親世代は裕福やったりするわけやん。アラサー世代も親がアラフィフ世代なので親の金銭的体力がまだあるんよ。
・ω・
この下の世代が親がアラフォー世代なのでここから一気に格差が広がるとのこと。アメリカやヨーロッパのように階層社会に近づくんじゃないかってね。あと私達アラフォー世代の3人に1人は配偶者なしで老後をむかえるとのこと。
3人に1人ですよ!
3分の1が独り身。凄い光景になるようです。
あとこんなグラフも出ていたよ。上の図が結婚相手に望む年収です。女性が結婚相手の男性に望む年収が400万円以上が34.6%で600万円以上が22.4%となっているんだけどね。現実の未婚男性の年収で400万円以上は25.1%としかいないっていうね。
まあ、2001年の頃には下流でもういいって私なんかは思っていたので、今の日本をみると時代が追いついてきたって感じしかないんだよな。こうなることは分かっていたしさ。だからといってこの本では解決策はこれといったものは提示してないんだけどね。
アラフォーの3人に1人が独り身の高齢者ってことは、身元引受人が3人に1人いないってことやからね。病院に入るにも施設に入るにも身元引受人って必要だからさ。とりあえず私は今年から株の優待券とか甥っ子にあげて印象をあげてるw
![]() 底辺への競争 格差放置社会ニッポンの末路 (新書635) [ 山田昌弘 ]
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